選択的夫婦別姓と名前の自由 ─ ふたりの苗字を刻むchicoriの真鍮表札 | Brass Note

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選択的夫婦別姓と名前の自由 ─ ふたりの苗字を刻むchicoriの真鍮表札

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結婚しても、それぞれの名前を名乗れる「選択的夫婦別姓」。
家族のかたちや価値観が多様化する現代において、名前のあり方にも自由を求める声が高まっています。

そんな時代の流れのなかで、chicoriの真鍮表札は、「二人の名前をそのまま大切にできること」に寄り添っています。

表札という小さなサインに、「自分たちらしい名前」を表現できるとしたら — 
そこには暮らしの入口にふさわしい、あたたかな意味が込められていると思うのです。

住宅に設置された夫婦別姓の真鍮表札

夫婦別姓とは?日本の現状と変化

選択的夫婦別姓とは何か

選択的夫婦別姓とは、結婚するふたりが「同じ姓にするか」「それぞれの姓をそのまま使うか」を自由に選べる制度です。
すべての夫婦が別姓になるのではなく、自分たちに合ったかたちを選べるという点が最大の特徴です。

これは、姓の問題にとどまらず、「自分らしさを大切にしたい」という想いにも関わるテーマです。

仕事のキャリアや家族とのつながり、名前に込められた思い出 — それぞれの背景を大切にしながら暮らしを築く人が増えています。

chicoriの代表である葛西も、仕事上では旧姓を使用していますが、戸籍上は妻の元々の姓である”玉田”です。

なぜ日本では導入されていないのか

日本では現在、民法により「夫婦は同じ姓を名乗ること」が法律で定められています。
どちらの姓を選ぶかは自由ですが、実際には95%以上が夫の姓を選択しています。

現代日本社会では、夫婦別姓を望む声が増え、社会通念も多様化していますが、依然として「家」や「家族の一体感」を重視する価値観も根強く残っています。

結婚のたびに姓を変えることへの違和感や、「本当は変えたくなかった」と話す声も耳にします。
一方で保守的な家族観・伝統意識も根強く、制度改正には慎重な意見が並びます。

実際に、仕事では旧姓を使い続けたいと考える人も多く、企業の約9割が旧姓使用を認めているという調査結果もあります。
けれど、公的手続きや医療・金融の場面では、戸籍上の姓が求められることがほとんどで、違和感や不便を感じる人も少なくありません。

国際的には例外的な状況であり、今後も議論が続くと見られます。

世界の夫婦別姓制度との比較

原則別姓・選択制が広がる世界

各国における夫婦の姓の取り扱いはどのようになっているでしょうか。

中国では1950年から夫婦別姓が原則となり、韓国でも結婚後に姓を変えることはなく、“原則別姓”です。

アメリカ、イギリス、ドイツ、オーストラリア、フランスなどでは、結婚時に夫婦が同姓・別姓・複合姓(ダブルネーム)などを自由に選択できる、“選択的夫婦別姓”です。

日本は世界でも例外な存在

国際的に見ると、日本のように「法律で夫婦同姓を義務づけている国」は世界で日本だけです。

国連からも「個人の尊厳や選択の自由を尊重すべき」との勧告が出されており、国際基準とのギャップが指摘されています。

家族のかたちも、価値観も、国によってさまざまです。
ただ、世界の多くの国では「選べること」が尊重されている — それが現在の流れです。

chicoriが寄りそう「名前のかたち」

二人の苗字をそのまま表札に

名前には、それぞれの人生の歩みや大切な人との記憶が刻まれています。
だからこそ、「どちらか一方を選ばなければならない」という現状に、迷いや戸惑いを感じる方もいらっしゃいます。

chicoriでは、そうした想いを受けとめ、ふたりそれぞれの苗字を入れた真鍮表札もお作りしています。

たとえば「 Tanaka & Suzuki 」や「 Kawamoto / Ishii 」など。
レイアウトやフォントも自由にお選びいただけます。

「どちらかに決めなくてもいい」と思えるだけで、ふたりの関係が少し楽になることもあります。
あるお客様は、「名字を一緒に並べて、ようやく“これが私たちの家”と素直に思えました」とお話しくださいました。

名前とともに時を重ねる真鍮

真鍮という素材には、塗装を施さない「素地のまま」という潔さがあります。
使い始めは黄金色のような明るさを持ち、時間とともに少しずつ落ち着いた風合いへと変化していきます。

それはまるで、ふたりの名前とともに暮らしの時間がゆっくりと重なっていくような、静かな確かさを感じさせてくれます。

「表札は小さなサイン、でも、そこに込められる思いは大きい」 — 私たちはそう信じています。

まとめ

夫婦別姓のあり方や、名前の自由をめぐる議論は、これからも続いていくでしょう。

chicoriは、「名前のかたちにも選択の自由を」という想いを大切にしながら、真鍮という素材を通じて、お二人らしさをかたちにしています。

表札には、名前が入ります。
そしてその名前の並びには、それぞれの物語があります。

同性のカップル、ご夫婦ではないパートナー、親子や姉妹、ご友人との二世帯住宅 — 
どんな関係であっても、「ふたりの名前を並べたい」という気持ちがあるなら、chicoriはその想いにそっと寄り添います。

私たちは、「どうしてこの名前なのか」をお聞きすることはありません。
ただ、表札に記したいお名前を教えていただければ、それで十分です。

どんな名前にも、どんな暮らしにも、やさしく寄りそう一枚を。
気になることがあれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。


 

この記事の著者

hiromiko

1979年生まれ。小さな頃からぬいぐるみと絵が大好きで、高校・専門学校とデザインの道へ。看板屋に就職し、葛西とは同期として出会う。ふたりの子どもの育児のかたわら少しずつものづくりを再開。
chicoriではWEBショップの運営、イラスト、文章の制作、筆記体デザインなどを担当している。
多趣味で、漫画を描いたり、本を作ったり。読書も好きで、純文学と児童文学をよく読む。「何でもできるかやってみる」がモットーで、気になることにはつい手を出してしまうタイプ。古いぬいぐるみと向き合う時間が心を整えるひととき。最近は「光るくに」のぬいぐるみたちの世界を別ブログで紡いでいる。苦手なことは片づけと整理整頓。

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