真鍮は怖くない。誰でもできる真鍮表札リフレッシュの方法 | Brass Note

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真鍮は怖くない。誰でもできる真鍮表札リフレッシュの方法

#エイジンング#デメリット#メンテナンス#後悔#真鍮表札#経年変化

「変色が心配」「手入れが大変そう」── そんな真鍮表札の不安を解消します

「真鍮の表札が黒ずんでしまった」「思ったより変色が早くて後悔している」「錆びたらどうしようと心配」──そんな不安を感じている方は少なくありません。真鍮は空気や雨に濡れることにより、時間とともに色が濃く変化していく素材です。その経年変化こそが魅力であり味わいですが、初めて真鍮表札を検討する方にとっては「手入れが面倒そう」「失敗したら取り返しがつかないかも」と不安に思われるかもしれません。

でも、真鍮は決して怖い素材ではありません。日頃のお手入れは、汚れを拭き取り、蜜蝋クリームを塗るだけで十分です。そして、たとえば意図せず部分的に強く変色してしまい、全体の印象や文字のデザインに影響が出た場合や、年末の大掃除などで一度すっきりとした状態に戻したくなったとき──そんなタイミングで簡単に金色の輝きを取り戻せるリフレッシュ方法があります。

この方法は、特別な道具もいらず、安価で簡単に入手できるアイテムで、短時間の作業で完了します。納品時とまったく同じではありませんが、マットで上品な金色がよみがえるリフレッシュ方法です。この記事では、その手順を写真付きで丁寧に解説します。

chicori公式|真鍮表札リフレッシュ手順ガイド

あえて6年間、雨ざらしの屋外に設置し、お手入れをせずに放置した真鍮表札。
深くくすんだ色合いと独特の風格をまとったその表情には、時を重ねたからこその味わいがあります。
今回はその表札を使い、表面を磨いて真鍮の素地の金色へとリフレッシュさせる工程をご紹介します。


用意するもの

用意するもの
①ダンボールや新聞紙
②ウェス
③霧吹き(水を入れる)
スポンジ研磨ブロック #240
⑤マスキングテープ
蜜蝋クリーム
紙やすり #600(大判サイズ1枚)
※「#」は研磨材の目の粗さ(番手)を示しています。ここで紹介しているのはおすすめの番手なので、多少前後しても問題ありません。

真鍮表札の周辺を保護する

1. 表札周辺の保護
壁面を汚さないように、ダンボールや新聞紙などで表札の周辺をしっかりと保護する。

紙やすりで真鍮表札を磨く様子

2. 黒ずみ落とし/紙やすりで真鍮表札を磨く
霧吹きで水を吹きかけながら、紙やすり#600(耐水ペーパー)で弧を描くように磨きます。
直線的ではなく、弧を描いて磨くのが自然に仕上がるコツです。
部分的に強く磨かずに全体を満遍なく磨いてください。
※「#」は研磨材の目の粗さ(番手)を示しています。ここで紹介しているのはおすすめの番手なので、多少前後しても問題ありません。

ときどき拭き取り様子を見ながら真鍮表札をまんべんなく磨く

3. 黒ずみ落とし/様子を見ながら磨く
ときどきウェスで汚れを拭き取り、部分的に磨き過ぎていないか様子を見ながらまんべんなく磨いてください。

紙やすりを交換しながら真鍮表札を根気よく磨く

4. 黒ずみ落とし/根気よく磨く
黒ずみが無くなるまで、紙やすりを交換しながら根気よく磨きます。
この時も霧吹きで水を吹きかけながら、直線的ではなく、ひたすら弧を描くように磨いてください。

真鍮表札の洗浄

5. 汚れを落とす
紙やすりで黒ずみを落としたら、一旦水で洗い流す。
最後に、磨き残しがないか確認してください。

スポンジ研磨ブロックで真鍮表札を磨く

6. ならし磨き/スポンジ研磨ブロックで磨く
紙やすりでできた研磨模様をなじませ、表面の仕上がりを整えるために、スポンジ研磨ブロック(#240)を使って全体を軽く磨きます。
このときは、霧吹きで水を吹きかけながら、力を入れずブロックの面全体を使って、円を描くように優しくなでるように動かすのがポイントです。
※「#」は研磨材の目の粗さ(番手)を示しています。ここで紹介しているのはおすすめの番手なので、多少前後しても問題ありません。

真鍮表札の洗浄

7. 表札の汚れを拭き取る
表札の表面を水で洗い流して汚れを落とし、その後やさしく拭き上げます。
汚れが残っていると、後から部分的な変色の原因になることがありますので、しっかりと丁寧に汚れを落としてください。

真鍮表札周辺の養生をはがす

8. 養生を取り外す
表札の周辺を保護していた養生を取り外します。
あとで蜜蝋クリームを塗布する工程に入りますが、表札周辺にマスキングテープを貼っている場合は、そのまま残しておいてください。

真鍮表札の洗浄

9. 仕上げの洗浄
再度、表札の表面を水で洗い流して汚れを落とし、その後やさしく拭き上げます。
汚れが残っていると、後から部分的な変色の原因になることがありますので、しっかりと丁寧に汚れを落としてください。

真鍮表札に蜜蝋クリームを塗布する

10. 蜜蝋クリームを点づけする
蜜蝋クリーム適量をハブラシまたは布に取り、適度な間隔で表面に点づけします。

真鍮表札に蜜蝋クリームを塗り広げる

11. 蜜蝋クリームを薄く塗り広げる
きれいな布で全体に塗り広げていきます。
布でなじませることで均一な塗布ができます。

真鍮表札の蜜蝋クリームを乾拭きする

12. 布でしっかりと乾拭きする
乾いた綺麗な布で、余分な蜜蝋クリームを取り除きながら、磨くような気持ちで丁寧に拭き上げてください。
関連記事:蜜蝋クリームの使い方と注意点まとめ

真鍮表札周辺のマスキングテープを剥がす

13. 完成
壁面を確認しながら、やさしくマスキングテープを剥がして完成です。

まとめ

いつでも金色に戻せる安心感がありながら、深みを帯びてゆく経年変化も味わえる──そんな両方の魅力を楽しめるのは、真鍮ならではの特別な体験です。時間とともに表情を変えていくその姿は、ほかの素材では得られない、豊かで奥深い美しさだと思います。

なお、今回ご紹介する方法は、chicoriの真鍮表札専用のリフレッシュ方法です。無塗装仕上げの真鍮プレートに、深さのある文字加工を施しているからこそ可能な工程です。
他社製の真鍮表札は、文字の加工方法や表面の処理が異なる場合があり、同じ方法を行うと文字が消えたり、磨きムラが残ってしまう恐れがあります。絶対に真似をしないようご注意ください。



いつでも金色に戻すことができ、経年変化も安心して楽しめる──そんな柔軟な付き合い方ができるのも、chicoriの真鍮表札ならではの魅力です。


 

この記事の著者

葛 西

1977年生まれ。幼少期を家業の看板屋の工場で過ごし、真鍮の経年変化の魅力の虜に。美術大学卒業後に実家の看板屋へ。10年間勤務後、洋服のセレクトショップ「chicori」を開業し、その中でオリジナル商品の真鍮表札の製造販売を始める。2023年より真鍮表札専門店として新たに歩み始める。妻と娘、息子の4人家族。最近ギターを習い始める。真鍮のように時を重ねる楽しさを届けたい。

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