真鍮とは?成分と特徴を詳しく解説 | Brass Note

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真鍮とは?成分と特徴を詳しく解説

作業台に乗った無垢の真鍮板

真鍮は、古くからさまざまな場面で利用されている金属素材ですが、その特性や成分について詳しく理解している方は少ないかもしれません。本記事では、真鍮の基本情報からその成分、物理的特徴、さらには多岐にわたる用途までを網羅的に解説いたします。

特に、真鍮に含まれる成分の仕組みや、真鍮の持つ独自の色合いや耐久性については、知識を深めることで日常の様々なモノ選びにも役立つでしょう。また、真鍮がどのような業界で活用されているのかを知ることで、その利点や特性を具体的な場面で実感することができるでしょう。

読み進めることで、真鍮の魅力や実用性を理解し、より良い選択をするための知識を得られることをお約束します。特に、真鍮を用いた製品についての理解を深めることで、選択肢が広がり、新たな視点からの購入や利用が可能になります。chicoriで使用している真鍮についても触れつつ、この素晴らしい素材の世界を探求していきましょう。

真鍮の基本情報

真鍮は、古くからさまざまな分野で活用されてきた金属素材です。英語では “Brass(ブラス)” と呼ばれ、美しい金色の輝きや、耐腐食性、加工のしやすさが高く評価されています。私自身、chicoriでこの真鍮を使った表札を日々製作しており、その魅力を肌で感じています。それでは、真鍮の特性や成分について、詳しく見ていきましょう。

真鍮とは何か

真鍮とは、銅と亜鉛を主成分とする合金で、古代から現代まで長く利用されてきた金属素材です。その歴史は古く、紀元前の時代から装飾品や日用品などに活用されてきました。現代でも、楽器やアクセサリー、家具の金具、機械部品など、さまざまな分野で用いられています。真鍮は、金色に近い美しい色合いや、優れた加工性・耐食性を備えており、鋳造や切削、圧延など多様な加工方法に適しています。そのため、クラフトから工業製品まで幅広い用途で活躍している素材です。

真鍮の成分

真鍮の基本成分は銅と亜鉛ですが、製品によってはさらに他の金属が加えられることがあります。たとえば、鉛を少量加えると加工性が向上し、マンガンやスズを加えることで、耐食性や耐久性がさらに強化されます。真鍮にはいくつかの種類があり、中でも「C2801(黄銅3種)」と呼ばれる材質は、銅約60%、亜鉛約40%でバランスが良く、一般的に広く利用されています。chicoriでもこのC2801を採用し、無塗装仕上げにこだわることで、時間とともに深まる真鍮ならではの風合いを大切にしています。これにより、ひとつひとつの表札が唯一無二の個性を持つ仕上がりとなります。

真鍮の物理的特徴

真鍮はその美しい外観と優れた耐久性を兼ね備えた素材として、様々な製品に活用されています。ここでは、真鍮の「色・外観」と「耐久性・加工性」の2つの観点から、その魅力をご紹介します。

色と外観

真鍮の色は一般的に金色に近い黄褐色で、自然な光沢があります。この美しい外観は、多くの製品や装飾品において非常に魅力的な特徴と言えます。真鍮の色合いは、銅と亜鉛の割合によっても微妙に異なります。chicoriで使用している真鍮はC2801(黄銅3種とも呼ばれる銅約60%、亜鉛約40%の真鍮材です)。この成分比により、深みのある金色が得られ、製品に高級感を与えます。また、真鍮は時間の経過とともに酸化し、色が変化します。この経年変化によって、真鍮の表面に独特の風合いが生まれ、アンティークな魅力を持ちます。無塗装で仕上げているchicoriの表札では、この経年変化が楽しめるため、さらに魅力的な外観を持ち続けることができます。

耐久性と加工性

真鍮は強度・硬度に優れ、長期間の使用にも耐える丈夫な素材です。さらに、真鍮は腐食に対しても比較的耐性があり、湿度が高い環境や水分に触れる状況でも、その特性を保つことができます。そうした特性は、真鍮を水道部品や屋外の装飾品など、さまざまな環境で使用する上で大きな利点となります。これは、透過性を持つ酸化膜が形成され、内部の金属を保護するためです。

また、真鍮は加工性にも優れており、切削や成型が容易です。この性質により、複雑な形状の部品や、一品一様の製品作りにも適しています。chicoriの製品においても、真鍮の柔軟性と加工性を活かして、独自のデザインを実現しています。

真鍮の用途と利点

真鍮は、その加工性や耐久性、美しい外観を活かし、幅広い分野で活用されています。ここでは、代表的な用途と、真鍮ならではの特性が活かされる場面についてご紹介します。

活用される主な分野

真鍮は、さまざまな業界で活躍する素材です。たとえば、電子機器の接続部品として多く使用されており、導電性の高さと耐久性が評価されています。また、楽器の世界でも欠かせない存在です。トランペットやサックスなど、多くの金管楽器に使われており、真鍮ならではの温かみのある豊かな音色が奏でられます。さらに、家具やインテリアの分野でも、ドアノブや照明、金具などに用いられ、空間に高級感や温かみを与える素材として活躍しています。

楽器やドアノブなどの真鍮製品

真鍮の優れた特性が活かされる場面

真鍮の優れた特性は、さまざまな場面で活かされています。

一つ目は、真鍮の優れた加工性です。真鍮は非常に扱いやすく、切削や鍛造などの加工が容易です。この特性により、複雑な形状が求められる部品でも、精密に製造することが可能です。製造業においては、これが大変重要な要素となります。

二つ目は、その耐食性です。真鍮は空気中の湿気や塩害に対して強い耐性を持っています。このため、屋外での使用や湿気の多い環境でも安定した性能を発揮します。特に、海洋環境や厨房での使用において、真鍮の耐食性の高さは特に重宝されています。

三つ目は、真鍮の美しい外観です。真鍮は金色から黄緑色の美しい色合いを持ち、オシャレなデザインを引き立てます。家具や装飾品に真鍮を用いることで、視覚的な美しさを際立たせることができます。そのため、デザイナーやクラフトマンシップの分野においても広く好まれています。

このように、真鍮はデザイン性・機能性の両面から、多くの分野で活かされてきた素材であり、これからも変わらず、さまざまな場面でその魅力を発揮し続けることでしょう。


 

この記事の著者

葛 西

1977年生まれ。幼少期を家業の看板屋の工場で過ごし、真鍮の経年変化の魅力の虜に。美術大学卒業後に実家の看板屋へ。10年間勤務後、洋服のセレクトショップ「chicori」を開業し、その中でオリジナル商品の真鍮表札の製造販売を始める。2023年より真鍮表札専門店として新たに歩み始める。妻と娘、息子の4人家族。最近ギターを習い始める。真鍮のように時を重ねる楽しさを届けたい。

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