真鍮と銅、どう違う?素材の特徴・見た目・使われ方をわかりやすく解説 | Brass Note

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真鍮と銅、どう違う?素材の特徴・見た目・使われ方をわかりやすく解説

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真鍮と銅は、どちらも赤みを帯びた金属であり、見た目の印象が似ているため混同されがちです。特に使い込まれた状態では、色のくすみや質感が似てくることもあり、見分けがつきにくいと感じる方も少なくありません。

私自身は日常的に真鍮のプレートを扱う中で、その特徴や経年変化の様子をよく目にしています。一方で銅に直接触れる機会は少なく、経年後の違いを目視だけで判断するのは難しいと感じることもあります。

ただ、新品の状態では両者の違いははっきりしています。この記事では、真鍮・銅・青銅それぞれの素材としての違いや特徴、身近な製品での使われ方、簡単な見分け方についてわかりやすく整理します。

作業台に並べられた真鍮板と銅板

真鍮・銅・青銅の違いとは?

真鍮は銅と亜鉛の合金、銅は自然界に存在する純金属、そして青銅は銅に錫を加えた合金です。それぞれに異なる性質があり、用途も異なります。

  • 銅(Copper):赤みがかった柔らかい金属で、非常に高い導電性と熱伝導性を持つ。加工がしやすく、実用品に向いている。
  • 真鍮(Brass):銅に亜鉛を加えてつくられる合金で、明るい金色が特徴。適度な硬さと加工性を持ち、装飾用途や建築金物に適している。
  • 青銅(Bronze):銅に錫を加えた合金で、やや赤黒く重厚な色味がある。鋳造しやすく、仏像や工芸品、硬貨などに用いられる。

見た目と質感の違い

新品の状態では、真鍮と銅の色味の違いは明確です。

真鍮は金色に近い明るい光沢を持ち、黄味がかった上品な印象があります。照明の下で見ると、反射が柔らかく、落ち着いた輝きを放ちます。

銅は赤茶色やピンクがかった色合いが特徴で、温かみのある金属として知られています。青銅はさらに深みのある赤褐色から黒に近い色合いで、重厚感があります。

ただし、時間の経過とともに表面は酸化し、くすんだ色合いへと変化していきます。くすんだ状態になると、素材の見分けが難しくなることもあります。

比重・硬さ・加工性の比較

素材としての重さや加工しやすさにも違いがあります。代表的な3つの金属の物理的な特徴を表にまとめました。

素材比重(g/cm³)硬さ加工性
約8.96非常に柔らかいよく曲がり、延びやすい
真鍮約8.4〜8.7適度な硬さ彫刻や打刻に適する
青銅約8.7〜8.9硬くて丈夫鋳造向きで美術品に多い

真鍮・銅の抗菌性について

銅は古代から「抗菌作用のある金属」として知られ、医療器具や水道管、厨房機器などにも使われてきました。最近では抗ウイルス性にも注目が集まり、公共施設のドアノブなどにも採用されるケースがあります。

真鍮も銅を主成分としているため、同様に抗菌性能を備えています。素材そのものに細菌の増殖を抑える力があるため、清潔性が求められる場所での使用にも適しています。

身近な製品で見る違いと使い分け

私たちの生活の中では、真鍮・銅・青銅がそれぞれの特性を活かしてさまざまな製品に使い分けられています。

製品・用途使用素材特徴と理由
5円硬貨真鍮(銅60%、亜鉛40%)耐久性があり、金色で識別しやすい。
10円硬貨青銅(銅95%、亜鉛3〜4%、錫1〜2%)銅を主成分とし、硬さと色味のバランスが良い。
電線・配線純銅電気伝導率が非常に高く、効率的に電気を通す。
水道管・冷却管純銅耐食性と熱伝導性に優れる。
銅鍋・やかん純銅(内面にコーティング)熱が素早く均等に伝わるため、調理に最適。
仏像・銅像青銅鋳造しやすく、重厚な風合いと耐久性がある。
ドアノブ・照明器具真鍮高級感があり、傷や摩耗に強い。
金管楽器(トランペットなど)真鍮音の響きが良く、精密な形状を保ちやすい。
表札・銘板真鍮彫刻に適し、屋外でも長く使用できる。
神社仏閣の屋根材純銅長期的な耐候性があり、風格を感じさせる。

真鍮と銅の見分け方とその限界

新品の状態では、色味である程度判断が可能です。真鍮は金色、銅は赤みのある茶色。照明の下ではその差がより際立ちます。

触感では、真鍮はやや硬く冷たく感じられ、銅は柔らかく温かみのある印象があります。

ただし、酸化が進み、表面がくすんでしまった製品では、見た目や手触りの違いがわかりにくくなります。見た目だけでの判断が難しい場合は、使用されている場所や用途、重量感などを参考にすると良いでしょう。

まとめ

真鍮と銅は、見た目が似ているため混同されることがありますが、素材の組成・硬さ・用途には明確な違いがあります。真鍮は金色で硬さがあり、装飾性と耐久性のバランスが求められる表札や建築金物に多く使用されます。

銅は導電性・熱伝導性に優れ、配線や調理器具など実用性重視の分野で活躍しています。青銅は美術的な表現や耐候性のある構造物に適した素材です。

それぞれの素材には長所があり、使い分けられてきた背景には明確な理由があります。素材の性質を知ることで、より納得のいくもの選びや、メンテナンスの考え方にもつながると感じています。

この記事の著者

葛 西

1977年生まれ。幼少期を家業の看板屋の工場で過ごし、真鍮の経年変化の魅力の虜に。美術大学卒業後に実家の看板屋へ。10年間勤務後、洋服のセレクトショップ「chicori」を開業し、その中でオリジナル商品の真鍮表札の製造販売を始める。2023年より真鍮表札専門店として新たに歩み始める。妻と娘、息子の4人家族。最近ギターを習い始める。真鍮のように時を重ねる楽しさを届けたい。

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